神は沈黙せず 上

神は沈黙せず(上) (角川文庫)

神は沈黙せず(上) (角川文庫)

読んで溜まっているのがあるんだけど
読んですぐの本の方が書きやすいので逃げてしまった。


久しぶりにSF小説を読んだのだが・・・クソッ!と感じた。
言っておくが、悪い意味ではない。
悔しいが引き込まれてしまっているので、クソッと感じたのだ。

悔しい、というのは以前に
404 Blog Not Found
神は沈黙せず
で絶賛されており、ここまで絶賛されていると何か天邪鬼的な気持ちが沸いてき
本当に面白いのか?面白くなかったら書いてあるとおり買い取ってくださいとメールしてやろうか
などと思っていた。

神、という存在については誰もが考えたことがあると思う。
私も考えたことはある。
宗教についても同様に考えたことがある。
私は(私の家は)仏教を宗教としているが、特に仏教に思い入れがあるわけでもない。
手塚治虫ブッダを読んだことがあったりするぐらいで知識もあまりない。

どちらかというと日本人によくいる無宗教という人だ。


この本ではまず主人公の女の子、それに兄以外の家族である父と母が洪水によって死んでしまう。
『奇跡』的に助かった兄弟、特に主人公の女の子、優歌は傷もほとんどなかった。
そこで看護婦か言う。
「まったく奇跡だね。」

何が奇跡なのだろうか?
神はなぜ、こうも望んでもいない奇跡を押し付けるのか?
これが神の意思なのか。



これは必ず誰もが一度は考えたことはあることだと思う。

神がいるのであれば、なぜこの世にはこんなにくだらない争いが多いのだろう。
なぜこんなに不条理が溢れているのだろう?

なぜ、この世はこうも生きるに値しないのだろう、と。

まだ上巻しか読んでないが、この答えとしてこの小説では、この世は一種のシュミレーターでしかなく
そのシュミレートをしている人物が我々が言うところの神という存在でしかないということだ。

これも一度は考えたことがないだろうか?
宇宙については
宇宙は時間的にループしているんじゃないだろうか?
宇宙は空間的にループしてるなじゃないだろうか?

後者の空間的なループに属するのが、いわゆるこの小説でいうシュミレーターという考え方だ。
シュミレートを何回も行うという考え方も含めれば時間的なループも含んでいる。

ループしているかどうか、は別として空間としてループできる可能性をはらんでいる形を取っているかどうかということだ。

この場合は人間の世界をシュミレートしている神がいて、その神の世界をシュミレートしている(大)神がいて・・・
というようにループしているんじゃないのか?という可能性もあるということだ。
実際にこの小説では神をシュミレートしている神がいるのかどうか、という記述は上巻ではまだ見られていないし
そんなこと書いてたら終わらないから、たぶん述べられないだろうけど。


もしこの世が単に神がシュミレートしているだけの世界であったなら。

そういう感覚をより身近なものにさせてくれた小説であり
久しぶりに楽しめた小説であった。



少し気になったのは、この本は2003年までのことについてはほとんど現実に沿って話しを進めている。
その中で著者の考え方が、現実の事実に加味されているような記述があったことだ。
ここで少し辟易した感覚に襲われたが、それでも読み続けてしまった。
そういうのはおいておいて、とにかく話は面白い。

だまされたと思って読んでしまったが、だまされなかった。

とりあえず上巻は、なので下巻もすぐに読もうと思う。