ローマ人の物語 RES GESTAE POPULI ROMANI

ローマ人の物語 (1) ローマは一日にして成らず

ローマ人の物語 (1) ローマは一日にして成らず

ROMA NON UNO DIE AEDIFICATA EST

昨年完結したと聞いていたが、読んだことはなく
読みたいなと思いつつも買うも全部買うとなると高いし・・・と手に取ったことがなかった。

でも欲しい!、と悩んでてとりあえず図書館を探していた。
けれどもいつ行っても一巻が見つからなかった。


ところが先日、図書館で本を見ていたら、まったく関係のないところに一巻だけポツンとあるのを発見し借りてみた。


う〜ん、やっぱり歴史物はいいね。
楽しい。
日本史やら一部の中国史ぐらいは知っていたが、今まで世界史の読み物は大して読んだことがなく
ローマについての話もあまり知らなかった。



ローマ人の物語 ローマは一日にして成らず』は紀元前753年に建国されたとされるローマが
イタリア半島を統一を一応完成させる前270年までの話である。
つまり500年かけてイタリア半島の領土拡大をとりあえず成し遂げたのである。

現在の時間感覚でこの事実を捉えると、なんとも着実な歩みだなと感じる。
物理的距離や情報の伝達速度など流動性が低い時代だったからこそ、ここまで着実な歩みが出来たのだろう。
そして着実に歩まれた国は1300年続く。


現在の世界を考えたときアメリカという国が1300年間持つであろうか??
西暦3000年などにまだ残っているだろうか??
無知を晒すことになるが、陸続きの大陸にある国家で一番長く続いた国はどこだったのだろう?
ローマの1300年が最高だろうか?
小国も見てみるともっと長い国もあるのかな。

こう考えると日本の皇紀2667年というのはなかなかだ。
まぁ紀元後しばらくまでは、国家というしっかりした枠組みははっきりしないけど。
(ある規模or大きな)国を長く持たせるには、ソフト面で考えると
大きな国の中に更に小さな国があり、その中で流動性を持たせる。
そして大きな国の内側でほぼ全てを完結させ、外側は違った世界とする、というのがいいのだろうか?
更に完結しやすいハード面の要素として島国という重要な要素もある。


けれどもローマはこの本を見ても、閉鎖的な国ではなくむしろ外から流動性を取り入れるような国である
と読んでいて思った。
外からの流れを取り入れ、急速に発展することは理解できるが
外からの流れを取り入れ、咀嚼した後にじっくりと栄養に変えて成長していくローマ。

政治形態やらローマ人の性質やら国家の性質などローマがローマとして長く有り続けた理由は色々考えられるのだろうが
まだローマという国の歴史を見始めたばかりではっきりとつかめていない。
続きを読み、少しずつ考えていきたい。

またこのローマ人の物語1ではギリシャの話も多く書かれており、とても興味深かった。
スパルタの話、スパルタ式のことなんかはそらで話せたらなんかいいな、なんて思った。
吟遊詩人じゃないけど何かこういう歴史の話を、そらで話すのってよくないですかね?
子供ができたら、(って彼女も今はいないけど)こういうのも話せて聞かせれたらいいなぁ、と思ったりした。


最後に、ローマ人の物語1の終盤で印象に残った部分を引用して終わりたい。

南伊のギリシア植民都市国家であるターラントと戦うことになったローマ。
ターラントはその時代の地中海における最高の戦術の天才ピュロスを傭兵として雇った。
ピュロスとローマの戦いはピュロスの勝ち、として一旦講和を話し合う段階になった。
講和はなかなか締結されず、ローマ側はとりあえず捕虜の身請けをターラントのピュロスのもとに派遣した。

ここでピュロスは来た特使にこう言った。

「わたしは、イタリアに、商売をしに来たのではない。わたしとあなた方との争いの決着は、戦いの場でつけるとしよう。ただし捕虜になっている。ローマ兵は、講和が締結されたときの前祝いとして自由にするから、連れ帰って結構だ。」

ローマの特使は600人の捕虜を連れ帰り、元老院は講和についての討議を再開した。

そして結局ピュロスの提案は拒絶することで一致したのである。
600人のローマ兵は、久しぶりで会えた家族とまたも別れ、ターラントにもどって行った。
1人も欠けていなかった。