突破するアイデア力
突破するアイデア力 ~脱常識の発想トレーニング~ (宝島社新書)
- 作者: 三谷宏治
- 出版社/メーカー: 宝島社
- 発売日: 2006/09/08
- メディア: 新書
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目次
第一章 SFは「思考の枠組み」を広げる最強の武器
第二章 歴史が教える「事を成す力」
第三章 心に触れる本質をマンガに学ぶ
第四章 日本旅行
第五章 世界旅行
第六章 失敗
第七章 家造り
第八章 家族
東大理学部物理学科を出て文系就職をして、ボストンコンサルティンググループで勤務し、MBAを取得後、アクセンチュアで勤務し同社でエグゼクティブパートナーにまでなった三谷さんの著作。いわゆるキャリアとはこうやってたてるのだ、というような今一番人気(っぽい?)キャリアを歩んできた方。はっきりいって今だとエリートの中にはこういうキャリアは面白くもない、なんて自虐する人もいそうなキャリア。けどこの人はおそらく人気が出る前にこういったキャリアを歩んできた人であり、人気が出たのは三谷さんのような人が多くこの道にいたからなんだろう。*1
内容は目次の章に書いてあることを中心に据えながらも、そこで自分がどう考えてどう学んできたのかを紹介している。構成もわかりやすく始めと終わりをきちっと作っている。良くも悪くも*2コンサルっぽい文。あえて不満を言えば章の締めが無難すぎるところ。
私がとくに面白いと思い読んだのはSFについて書かれている1章、日本旅行について書かれている4章、家造りについて書かれている7章だ。
まず1章のSFは本が紹介されているのがよい。つい読みたくなる。私はSFはほとんど読んだことがないので、読んでみようと思う本がいっぱいあった。特に幼年期の終わりは読んでみたいな、と思ったのでもう購入している。光文社の古典新訳が出ていたのでそれにしてみた。*3
4章の日本旅行ではヒッチハイクの話や古寺・仏像の話が取り上げられていてつい訪れたいという気持ちをかきたてられた。特に京都の三十三間堂には暇をみて行ってみようと思う。*4この章で印象に残った文は
そう、ここで言いたいことは。この瑠璃光寺五重塔の美しさなのだ。そして私はそれに魅入られた。近くに寄ったり、ちょっと離れたり。だいぶ距離を取って回りの風景と一緒に見たり。もちろん途中で飽きたりもする。でも、見続ける。結局、延べ五時間ほど眺めていた。そして、じーっと見続けていると、次々に色々なものが見えてくる。それまで見えなかったものが見えてくる。
というところだ。これだけ見てこそ見えるものがあるんだろうな、と思う。そもそも時間という最も磨耗させられるものに長い時間耐えてきている存在を見るのに、少し見たぐらいで何がわかるというんだろうか。その存在が1000年もの時間、永らえているなら一日ひたすらそれを見たとしてもその存在を知るには少なすぎるだろう、そう思わせられる部分だった。
7章は家造りについて触れている章だ。実際に著者が自分の(母の)家造りに携わったときのことなどを中心に書かれているが、ここが一番この人の仕事のやり方などが見えている部分だと思った。実際に仕事もこういった感じなのかな?とも思った。
浅くしか触れなかったが、働きだしてからいろんな経験を通してもう一度読むと感じ入る部分が増えてくる本なんだろうな。